海士(あま)の方言(ほうげん)
 海士で話される方言(ほうげん)は、詳(くわ)しく聴(き)くと同じ島内(とうない)で も、地区(ちく)によって少しずつ異(こと)なる表現(ひょうげん)があります。これは、昔は道路(どうろ)が整備(せいび)されていなくて、日常(にち じょう)では人々の行き来が限(かぎ)られていたからだと考えられます。しかし、現在(げんざい)はテレビ等の普及(ふきょう)や交通の発達(はったつ) もあり、いわゆる海士弁を話す方も少なくなり、小学生は高齢(こうれい)の方が使われる単語(たんご)が理解(りかい)できないようなことになっていま す。

 せっかく、祖先(そせん)から伝えられてきた一つの文化である海士弁を残そうと、まとめてみました。用例(ようれい)のらんをクリックすると、なつかしい海士弁を味わうことができます。尚、出雲弁(いずもべん)と重なる言葉(ことば)は掲載(けいさい)しておりません。


海士弁
標準語(ひょうじゅんご)
用例(ようれい)
あーえ いいえ こないだしゃんやまに行ったかえ、ああえ
(せんじつ、じぶんのところの野菜畑にいきましたか。いや、いや)
あうわて あります 今年の冬はそぞがなかったがな、あえ、ああわて
(今年の冬はそぞがなかったですね。いや、ありましたよ)
あざれがねー 区切(くぎり)りがつかない
わけがわからない
あんのいうことはあざれがねーひとつだあわからせん
(あの人が言うことはわけがわからない。一つもわからない)
あじゃまた 行儀(ぎょうぎ)が悪(わる)い にょーばんこのなりして、がいなあじゃまたして
(おんなのこなんだから、そんな行儀がわるいといけない)
あばけつかん
あばかんあばき
たくさん あーえそぞはあばけつかんわて。どこにもあっぞ。
(そぞはたくさんある。どこにでもある。)
いにしな 帰りがけ
帰る時に
いにしなに、けがしたとや
(帰る途中にけがをしたそうだよ)
いたわし かわいそうな やーれ 死んでいたわしなー
(ああ 死んでかわいそうにね)
いねがつく ねる ゆうべわけ、いねがつかんかったわい。
(ゆうべは、目がさえてねむくならなかった)
いのる
いぬる
えのる
帰(かえ)る さぁ、いのっど!
(さぁ、帰(かえるぞ!)
いーも
よーも
よく 金光寺のぼらやともうだど、まー年とって、いーもで行かれんわい。
(金光寺におまいりしようとおもうけれど、年をとってきないので行くことができない)
おせわでござんした お世話になりました おせわでござんした
おっぱえる 追(お)いかける おっぱえやっこ、すっか
(おいかけっこをしようよ)
おもさも
おんもさんも
しっかり
全力で
思い切り
おもさも、まくれたわい
(おもいきり ころんでしまった)
がいな 大(おお)きな
いっぱい
魚(さかな)が、がいなこと、取(と)れたわい!
(魚が、たくさん、取れたよ!)
がめた 疲(つか)れた きのう、のみすぎて、がめたわい
(きのう、のみすぎて、疲(つか)れた)
けそけそする 落ち着きがなく、きょろきょろする こりゃ、あぶないけん、けそけそすんなよ
(おい、あぶないから、そわそわしないで)
こっすい ずるがしこい こすいがな
(ずるがしこいね)
ごす くれる ちょっと(くるま)、貸(か)してごさんか?
(ちょっと車を貸してくれない?)
こちける ふるえるほど寒(さむ)い ゆうべは寒うて、こちけたわい
(昨晩は寒くて、こごえるほど寒かった)
こんじゃあくされ 食い意地(いじ)がはる 人の分まで手を出すな、この こんじゃあくされが
(人の食べものまで食べてはいけない、食い意地がはりすぎです)
さうぇー
さわい
さらさらしている 今日のカレーはさわえーがな
(今日のカレーは水っぽいね)
さでだす ほうりだす
追い出す
えーうちでばっかりあそんで、さでだすど
(家の中でばかりあそんでいると、外にだすぞ)
しぇけべ
せけべ
どんな手を使っても勝とうとする人
負(ま)け惜(お)しみをいう
運動会でしぇけべして勝ったわい
(運動会で、ごねて勝ったぞ)
しがならん たくさんある ことしゃ、マイカがしがならんわい
(今年はマイカがたくさんいる)
しじる フライパンなどで炒(いた)める メノハな、メノハとってしじらあうまいけんな
(メノハねえ、メノハは炒めて食べるとうまいからね)
しばなえる 植物(しょくぶつ)などが水分(すいぶん)がなくなってくること まひする さむうてけ、手がしばなえてな
(寒くて、手の感覚(かんかく)がなくなった)
しゃーがねえ 意識がないように ねとって、しゃーがね(よくねていて、意識(いしき)がないほどだ)
じゃじゃこ でたらめなこと
いいかげんなこと
えーねんでもかんでもじゃじゃこして、ふとつだあわけがわからんな
(なんでもかんでもでたらめなことをして、ひとつもわけがわかっていない)
しゃばれ ひっぱれ まっと、しゃばれ
(しっかりひっぱれ)
しゃんと しっかり

しゃんとせぇ!
(しっかりしろ!)

しぇゃんやま 自分の家の畑(はたけ)
家庭菜園(かていさいえん) 菜(な)のことをしゃぇんもん と言う
ばあさんよ、しゃんやまにいって、だいこんとってきてごさんかや
(おばあさん、家の畑に行って、大根をとってきてくれないか)
しょしゃね うたたね こたつで、しょしゃねすりゃ、気持ちがええがな
(コタツでうたたねすると、気持ちがいいね)
じょんじょんする わくわくする 遠足(えんそく)でじょんじょんするっわ
(遠足でわくわくするよ)
すこだま げんこつ すこだま、にやしこむど
(あたまにげんこつをするぞ)
すっぱい
すっぱり
すっぱ
全部(ぜんぶ)
すっかり
すっぱいなあなる
(みんななくなる)
すばえる 家の中などで、あばれる いえんなかですばえてわらすど、そとへ出てあそべ
(へやのなかで、どたばたとあばれてないで、外へ出てあそびなさい)
せける ルールを自分の都合(つごう)がいいようにうやむやにする あんはな、せべのたいしょでな、なんでもすぐせるだけんな、おもしれけどな
(あのひとは、自分のつごうのいいようにすることがとくいだからね。それもおもしろいけれど)
せせらし

わずらわしい
じゃまなこと

電話(でんわ)がせせらしい。
(電話がかかってきてじゃまになる)
せだやかす からかう おとなをせだやかすだね
(おとなをからかってはいけない)
せつねえ くるしい 山登ってせつねど
(山に登って苦しい)
そいだ
そっだ
そい
そうです そげだ、そげだ
(そうそう)

だの
わたし
わたしの(もの)
わたしたち
だのいうこと、聞(き)いとかいいだわい
(わたしのいうことをきいておけばいいよ)
だいど だけど

だいど、よぉ食(く)ったなぁ。
(だけど、よく食(た)べたなぁ)

だだばる だだをこねる
言うことをきかない
店の前でだだばって困(こま)ったわい
(店の前でだだをこねて、うごかなくて困ったよ)
だっだ だれだ よいよい、うしろからみてようわからんがおもえだっだ
(おいおい、後ろから見ているのでよくわからないが、だれですか)
たまだれ なまけもの
どうしようもない
役に立たない
酒飲んで,、たまだれて、へんどついたわい
(酒をのみすぎて、酒の勢いでめちゃくちゃになって、もどしてしまった)
だめがつまん 役(やく)に立(た)たない あのさんじゃ、だめがつまんのぉ。
(あいつでは、 役(やく)に立(た)たないわ)
だんと
らんと
わがや
わたしの家
こんどのやどはだんとだけんの、9時ごろきてごわっしゃいよ
(こんどのとうばんはわたしの家だから、9時ごろにきてください)
ちゃすい ずるがしこい ちゃすい
つえる くずれる こないだの大雨でうらのげしがつえてこたえたわ
(この前の大雨でがけがくずれてこまった)
つかえてある いっぱいあること 米がつかえてあんに、パンを買って
(米がたくさんあるのに、パンを買って・・・)
つくばる 水などにかたまでつかる
しゃがむ
風呂(ふろ)につくばってからあがれや
(風呂によくつかってからあがってね)
どげてて どう言ったの?
何ということを言うか(怒(いか)った時に使う場合(ばあい))
えーもういっかいいえな、とげてて
(もういっかい言って、何といったの)
どげぇ? 何(なに)だって? どげぇ!(何だって?)
とちこへた 薀蓄(うんちく)を語(かた)る あっがな、いつもこむずかしいこととちこへたわいな。
(あのひとはいつも知ったかぶりする)
とちばけた とんでもないこと
興奮(こうふん)した
ねぼけてかんがえられないような行動をとる
いつもがいなこといって、とちばけばっかりだな
(いつもおおきなことを言って、いいかげんなことばかりだ)
とらげる 片付(かたづ)ける
整頓(せいとん)する
このはこをなとらげとって ごせよ
(この箱をおさめてほかんしておいてくださいよ)
とろつく つかまえる
しっかり持つ
そこんとこのぼうにとろついてな、はなすだねえぞ
(そこのぼうに、しっかりとつかまって、はなしてはだめだよ)
直会(なおらい) 反省会(はんせいかい)
慰労会(いろうかい)
今夜、祭りの直会(なおらい)があっけん、お前(まえ)も来(き)てごせな。
(今夜、祭(まつ)りの"打上(うちあ)げ"があるので、お前も来てくれよ。)
なーしぇ
なーせ
なぜ あしたな、めしょいかーや。なーせ。
(明日、はかまいりに行こう。なぜ)
のし あなた のしが何(なに)ゆっだ
(あなたが何をおっしゃるのか)
のろち みんな
はこふる 大便(だいべん)をする はこふってくっけん
(トイレに行ってきます)
ふかった 赤(あか)い ばあさんよ、ふかったもん着てがいににあうど
(おばさん、赤いすてきな服を着て、にあいますね)
ふさって
どうふさる
どうぶさる
うつぶせになる ばあさんよ、どうふさってばっかおらすと、ちいとあるいてみいな
(おばあさん、ねてばかりいないで、すこしあるいてみたらどう)
へぼる やる気をなくす
いじける
すぐへぼっだけん、なんだいできせんわて
(すぐにいじけるから、何もできない)
へんどをつく よっぱらって嘔吐(おうと)する へんどをつく
ほろむ ほうむる
穴(あな)をほって、何かをいれてうめもどす
もうな芽が出て花がさくから、大根ぬいてほろんどけよ
(もう、芽がでてはながさくから、大根をぬいて土にあなをほってうめておきなさいよ)
ぼろける 落(お)ちる 牛(うし)が山(やま)からぼろけたわい
(牛が山から落(お)ちたよ)
ほろし 虫にさされた後などにできるふくらみ やーれ鯖(さば)があたっただか、ほろしが出てこまったわい
(鯖を食べた後に、ジンマシンがでてこまった)
まくれる 転 (ころ)ぶ 酔(よ)って、まくれたわい。
(酔って、転んだ)
みしん けっせきする きのうじげしごとがあってつごうがわるて、みしんして、こらえさっしゃいの
(ちくのきょうどうさぎょうがあってつごうがわるくてけっせきします。こらえてください。)
みそぶる 見逃す オリンピックなうとうととしょしゃねして、みそぶってしまった
(オリンピックを見ようとおもっていたのに、うたたねして、見逃(みの)した)
めぐ 壊(こわ)す こげなふるや、めいでしまえ
(こんな古い家は壊(こわ)してしまえ)
めしょまいり 墓参(はかま)り ばあさんよ、めしょまいりすっか。いっしょにいってごすか。
(あばあさん、墓参りをしようか。いっしょにいってくれますか)
めにあわす 痛(いた)い目(め)に合(あ)わす ように、めにあったわい。
(本当(ほんとう)目(め)に合(あ)った)
よいち 夕方
日没(にちぼつ)のころ
よいちかあってのお、イカをいちれんほどつったわな
(夕方から漁にでて、イカを20ぱいほどつったよ)
ようござらした よくおいでくださいました ようこそ 海士(あま)へござらした。
(ようこそ海士へおいでくださいました)
ようすかる
よすかる
うしろにすがる かべにようすかるな
(かべにもたれかかるな)
ようなほって やっとこさ ようやく そっがの、はがよがってなよーなほってわがとこへもどったわ
(それがね、はがいたくなってようやくのおもいで自分の家にかえることができた)
よばれ
よばり
おねしょ
ごちそうになる
きょうはの、そつぎょうしきでおばんところへよばれだわ
(今日はそつぎょうしきで、おばのところにまねかれてごちそうを食べる)
うちのこは3つになってもよばれがなかなとまらんでの
(うちの子は3才になっても、4才になってもおねしょがなおらない)
うんな
んな
みんな うんなで、おまいりにいかあや。おうそげすっだ。
(みんなで、おまいりに行きましょう。そうしましょう)